
わびさび、とは何でしょうか?耳にする機会が多い、侘び寂びという言葉ですが、それが何を意味しているか意外にも多くの方が知らないのではないでしょうか。いい機会なので、一度目を通していただき、ライフスタイルの向上にお役立てて下さい。
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わびさびを素敵と感じる感性は今も根強くある |
日本人なら侘び寂びは知ってて当たり前?
古民家を改装したカフェやアンティーク調の家具や部屋を素敵だなと感じることはありませんか?それはまさに、侘び寂びの世界に魅了されているといっていいでしょう。
日本人が大切にしてきた、侘び寂びという感性。そういえば、言われてみると何のことかピンとこないという方は多いのではないでしょうか。
わび
まず、わび、についてご説明さます。わびとは、わびしい、からきています。
わびしいとは、物がなくて物足りない、ことをいいます。
そんな物足りないことに美しさを見出したのが、わび、です。
茶室をイメージして下さい。掛け軸と華やかでない生花と最低限のもの。ほとんど物がありません。しかしながら、そこに美しさを見出したのです。
さび
では、さび、とは何でしょうか。それは、さびしい、からきています。
このさびしいとは、時間がたち、古くなった物に美しさを見出したのです。
神社仏閣に使われている、柱や廊下などもう何年も前のものですが、新品にはない美しさを感じます。
雑貨屋さんなどの店頭に置かれているイーゼルも、アンティークだとオシャレに感じますよね。
わびしい、さびしい、からきた侘び寂びの世界。
概念は知らなくても、感性として未だに日本人の心に残っているのです。
生活にいかせる侘び寂び
私は、この侘び寂びという感性は、今の生活を豊かにすることに、とても役立つと思っています。- わびとは、家のなかの不要なもの、多分これからも使わないものを捨てた、シンプルな部屋に通じます。
- さびとは、とても気に入ったものを長く大切に使うこと。年季が入っても粗末に感じず、むしろ味わいが出たと感じる。
これはまさに、シンプルライフをおくることで、得られることばかりです。
侘び寂びとは、茶道やお寺などの自分には関係ない世界に残っている日本の伝統ではなく、身近なものにすることで、今の生活を豊かにすることができるのです。
侘び寂びは、その心を変えず、今も多くの人を魅了しています。ただ、それがミニマリストやシンプルライフと呼ばれているだけだと思います。
海外に旅行すると、特に日本人でよかったなと感じることもありますが、この侘び寂びもまた、日本人でよかったなと思うことではないでしょうか。
ぜひ、この日本人が大切にしてきた、わびさびを、毎日の生活にとりこんでいってください。
わびさびはシンプルライフのことではありません。
返信削除わびは千利休の時代にできた文化ですが、この時代は人もモノも多い時代でした。そんな時代に、どうしてシンプルライフが達成されうるのでしょう。
そしてこの千利休、豊臣秀吉御用達の方でした。
豊臣秀吉は黄金好き、女好き、海外物好きで、決してミニマリストなどではなかったのです。
茶室とは、生活空間ではありません。
モノや人が雑多な日常生活空間から離れ、茶や自然以外何もない窮屈な空間で、短い時間を過ごす場所であったのです。
ですからそもそも茶室と現代のミニマリストたちが暮らす生活空間を一緒にするのは疑問です。
また、さび文化は松尾芭蕉が創り上げたもので、本来の意味は、激しい情景であろうと、悲しい情景であろうと、それこそ何もないような空虚な情景であろうと、それに対して句に表れる読み手の淡々とした心情のことをさびと言います。
つまり、なにも使い果たしたものに対する心情、寂しい気持ち、と限定されないのです。
いかにモノや人で溢れた日常生活の中で、個人的な落ち着いた空間を嗜み、豊かな感性で物事を観察し、語れるかどうか…それがわびさびです。
ミニマリスト、シンプルライフとは、現代における顕著な個人主義の象徴です。
実際、行き過ぎだと批判されることも多く、これは他者や外界との調和をおろそかにしたことが原因であることが多いでしょう。もちろんそうじゃない人のほうが多いでしょうが。
調和なくして個人はありえません。
日本人的な考えだと思われるかもしれませんが、アメリカだってどこだって同じでしょう。
他者や外界とうまく付き合わなければ仕事がなくなります、仕事がなくなれば死にます。
わびさび文化は、人口やモノが爆発的に増えた時代に調和を重んじ、他国の文化を取り入れなかった日本だからこそ誕生し得た文化です。タイミングも大きな要因であります。
無駄な物や人間関係が無ければわびもさびも何もありません。
別にミニマリストを批判しているわけではありません。
ただ、行き過ぎた個人主義の歪曲と日本文化が同等と見なされるのは悲しいことだと思ったのです。